インディードなんてもう古い‼️これからの採用はファンベースマーケティング
SNSの普及などにより、特に若年層を中心として個人の好みや行動は多様化しています。
こうした状況下で、企業が利用者に製品やサービスの利用拡大を図る際には、従来のマスマーケティングでは不十分となっています。
新たなマーケティング手法として注目されているのが、ファンベースマーケティングです。
この記事では、ファンベースマーケティングを活用した企業の採用活動について詳しく解説します。
ファンベースマーケティングとは
ファンベースマーケティングとは、個人や企業・組織などのファン(愛好者)を中心として、中長期的に事業の売り上げ拡大を目指す手法です。そして、大きなポイントとしては、新規のファン獲得よりもむしろ、現在既に存在しているファンを大切にし、最大限に活用することが挙げられます。
従来の概念として、ファンとは、例えばタレントやスポーツ選手がそうであったように、自分から何も働きかけなくても、自発的に支持してくれる存在でした。そのため、マーケティング戦略としては、今いるファンではなく、新規顧客の開拓に注力するほうがよいという考え方が主流でした。
これに対して、ファンベースマーケティングは全く異なる発想から生まれた概念といえます。端的にいえば、「新規顧客を自動生成する」というものです。
マスマーケティング手法が外部からのアプローチによって消費者に訴求する手法だとすれば、ファンベースは「(既存の)ファンの力」を活用し、顧客の内部から周辺・外部へと支持を拡大させ、結果として新たな顧客を獲得していく手法となります。
ファンベースマーケティングが注目される主な理由について、下記に解説します。
日本人は自分の所属する企業を信頼していない?
いきなり衝撃的な事実を述べますが、日本人は「自分の所属する企業を信頼していない」というデータがあります。
世界最大の広告会社と言われるエデルマン社の調査によれば、日本人は世界で一番、自分が働いている企業を信頼していないというものです。この調査によれば、所属企業への信頼度は日本が最下位で、全体の40%しかないのが実態です。
こうした状況下では、企業の経営者としても、社員をマーケティングに活用する期待が持てず、外部への働きかけを強めてきたのが自然な流れともいえます。つまり、自社の社員と企業相互の信頼感がないため、企業としては、自社社員をファンとして考えて活用することが出来なかったのです。
こうした過去の反省点を活かし、逆手を取って、自社の社員をファンとするよう求められるのがファンベースマーケティングです。
なお、調査時期は2016年とやや古いため、その後の社会情勢などの変化にもよりますが、大きな変動はないものと考えられます。
パレートの法則とコアファンの力
自社の社員をファンにする取り組みに加え、ファンベースマーケティングの根拠とされている、世界のビジネス界で有名な理論が「パレートの法則」です。いわゆる「80:20」の法則とも呼ばれ、その趣旨は「企業の売り上げの8割は2割の社員によって生み出される」というものです。
つまり、社内にいる2割の「コアファン」が、全体利益の8割を生み出しているという訳です。
ファンベースマーケティングは、8割の利益を生み出す2割のコアファンから継続的に利益を生み出すことの重要性を説く考え方です。
食品関連メーカーの事例
これも有名な事例として語られているのが、大手食品関連メーカーであるカゴメ社です。
同社は、売上不振に悩まされた際に、「&KAGOME」という、コアファン専用のコミュニティサイトの運用を開始しました。カゴメの主力商品はトマトジュースですが、売上状況を詳しく解析したところ、わずか2.5%のコアファンだけで売り上げ全体の約3割を占めていることが判明しました。最高では、年間で8万円分も購入している利用者もいたようです。
こうしたコアファンに対して能動的に働きかけることで、ファンを手放さに売り上げを拡大するのがファンベースマーケティングの基本的な考え方です。
なお、同社は総株主のうち99.5%が個人株主であり、「ファン株主」となっています。「&KAGOME」は、一般的な会員募集の形態ではなく、個人株主と通販利用者にのみ告知する形でスタートしました。会員募集キャンペーンなどは展開せず、最初からコアファンターゲットとして選定したものです。
その結果、一般顧客がカゴメ商品を月平均で100円購入するのに対し、個人株主は月1300円購入するので、今や同社の売上を支える大きな存在となっています。
ファンベースの拡散力
SNSの普及に伴い、価値観の近い人たちのコミュニティが拡大しています。
世の中に様々な商品や情報、エンタメが溢(あふ)れかえっている今、自分にぴったりの商品や有益な情報、また、ツボにハマるエンタメに出会うにはどうすればよいのでしょうか。
そう考えたとき、身近にいる友人から勧められたら安心です。なぜなら、友人とは「価値観が近い人」だからです。
価値観が近い友人が「ハマる」コンテンツは、自分も同じくハマる可能性が高く、友人が愛用しているモノに熱中すれば、自分もそうなります。
このように、同じコミュニティに所属するメンバー同士が同じモノやコトにはまる可能性は高いのです。
ファン同士の共通した特徴としては、次のようなものが挙げられます。
- 好きなものや気に入っているものについて、周囲に対して普段より熱量を持って語る
- ファンクラブを形成するコミュニティで同じ価値観の人と語り合う時間があれば、自分が好きなものに対しても自信を持ち、他人に勧める
- 「モノ」や「コト」を購入する際には、それを応援する気持ちが強く込められている
このように、単なる共感ではなく、「熱狂」の領域にまでコアファンを到達させることで、周辺にいる消費者を巻き込んでいくことを志向するのがファンベースマーケティングです。
ファンベースの優位性と将来性
YouTubeやTikTokなどを活用して自社をアピールするのも効果的ではありますが、アップした動画が話題になり、バズを呼び起こしても、瞬時の出来事で終わり、長続きしない現状があります。面白い動画として注目されても、そこで終わってしまい、肝心の商品購入やリピートにつながらない事例は多々あります。
企業としては、せっかく資金を投入して実施した一大キャンペーンも、短期間に終わってしまっては、リピーター獲得につなげるのは困難です。
これに対して、ファンベースマーケティングは、コアファンの好意や熱意がを最大の資産となります。
有名企業の取り組み例として、これも食品関連大手企業であるカルビー社は、自社のコアファンを対象に「じゃがり校」という、学校をイメージするサイトを長期間にわたって設置し、ファンを生徒にみたてて新商品の共創を実施しました。
こうした取り組みが実を結び、ファンと共創した商品が同社の商品全体で年間トップを記録するまでになりました。
コアファンを熱狂に巻き込むには、商品を軸とした企業と利用者の関係だけでなく、人や価値観といった概念を前面に出して展開すべきです。企業の宣伝を、利用者に向けて一方的に発信する形態から、ファンとの相互コミュニケーションへと転換させていく発想は、コロナ禍でコミュニティへの帰属やコミュニケーションを求める消費者との関係をコアなものにする、新たな手法として発展していくと思われます。
ファンベースマーケティングの人材採用への活用法
ファンベースマーケティングを企業が人材採用にあたって活用する際のポイントについて解説します。
ファンを創造するための手法
社内外のファンを創造するために必要となるのは、社内における広報活動です。社内広報(インターナルコミュニケーション)は、企業が自社の社員に対して行なう広報活動のひとつです。
本来、企業が社会に訴えたい価値をよく理解している社員や元社員に対して、コミュニケーションを意識し、彼らにポジティブな情報を発信してもらうことにより、リアルで生々しく、価値の高い情報を求職者に伝えることが可能となり、また正しく自社の価値や魅力を伝えることが可能となります。
企業が持続的に発展するためには、社員全員が共通の意識を持って行動することが重要です。そのためにも、社内広報が果たす役割は非常に大きくなります。
社内広報や採用広報の目的
社内外のファンを創造するためには社内広報が重要ですが、社内広報の目標や、それを達成するための指標設定に悩む人事や広報担当者は少なくありません。
社内広報の主な目的としては、次のような項目が挙げられます。
- 企業理念やビジョン、ミッション、バリューなどの理解促進・浸透をはかる
- 部署間、社員間の相互理解を促進する
- 日々更新される経営情報を共有する
- 社内コミュニケーションを活性化する
- 企業文化や風土を醸成する
- 倫理観やコンプライアンスなどのマインドを醸成する
社内広報を実施する際には、どういう情報を誰に対して提供すればいいのか、いつ、どの程度の頻度で情報を提供するのか、そして得られる成果をどのように計測すればよいのか、などのポイントについて、しっかりと検討することが重要です。
ファンベースマーケティングを成功させるポイント
ファンベースマーケティングは、ターゲットである候補人材を獲得するためのアプローチ方法ですが、それだけではなく、採用した人材が入社後に活躍できるよう、最適な要員配置をどう実施するかが重要です。
また、即戦力の退職者や、転職後スキルアップした自社の元社員にどうやって戻ってきてもらうのか(アルムナイ採用)など、採用前から退社後に至るまで、社員候補や社員、元社員などと友好な関係を保ち続けることが、採用を成功させるポイントです。こうした配慮は、社内外に人々が自社好意を寄せる「ファン」の創造・拡大に繋がります。
従来の採用活動は、採用候補者からの応募を獲得し、入社決定に至るまでの、いわば一過性のリクルーティング活動でしたが、現在求められている採用活動は、候補者に会社や採用の状況を詳しく理解させた上で、どうすれば興味をもって応募してもらえるか、また採用後に活躍してもらうにはどうすればよいかといった、選考開始前から入社後(退職後)までの一貫したコミュニケーションが求められています。
Gyoutenの斬新な集客手法についてご紹介
Gyoutenの集客方法は、YouTuberやTikTokの積極的な活用や、コンシェルジュのスナップ写真を含めた詳細プロフィールの共有といった、これまでの求人サイトにはみられない斬新なものです。
また、この記事で解説したファンベースマーケティング理論を裏付ける実践を通じ、インフルエンサー集客に圧倒的な強みを誇ります。Gyoutenではまた、魅力あるコンシェルジュやスタッフ、また優秀なクリエイターを多数抱えているので、是非ご活用ください。
参照:モデルオンデマンド
まとめ
ファンベースマーケティングの意味と、その特徴やメリット、また人材採用活動への活用などについて詳しく解説しました。
この記事を読んで、企業の採用担当者は、今後の人材採用を円滑に推進するための参考としていただきたいものです。
ライター
早稲田大学政治経済学部経済学科卒業
大手通信会社、IT調査会社等を歴任
海外出張は世界40都市以上、海外駐在経験はヤンゴン(2回)、ホーチミン、そしてマレーシア(KL)です。
世界最大手の調査会社、IDCジャパンでテレコム関連調査分析記事主筆経験4年以上あり。
その後、各種文章作成など多数経験し、現在、英文翻訳とライティングの仕事を幅広く手掛けています。
【主な執筆実績】
・主にITモバイル系の英文和訳を基本とした翻訳業務
・転職サイトに特化したコラム執筆
・各種サイトなどの文章編集・リライト業務
・時事ネタ等を中心としたブログ執筆業務
・YouTube動画からのシナリオ、ライティング起こし執筆
・ホーチミン、クアラルンプールに関する時事・歳時記執筆
・クアラルンプール生活全般におけるアドバイザー
・テレワーク下の環境改善提案に関する啓発記事
・補助金に特化したコラム執筆